バイクの急ブレーキ・急制動のコツ

バイク事故で最多の原因は「止まれない」こと

バイクで事故が起こったときには運転手本人が重大なケガを負ってしまうことがよくありますが、その理由は非常に高速のまま体が路面に投げ出されてしまうからです。

実際に起こったバイク事故の例を集めてみると、そのほとんどが「止まれなかった」ことによって起こっています。

これは何もバイクを運転している側のみが悪いというわけではないのですが、いずれにしても事故になった場合に、バイク側が大きなケガをしてしまうことは確かな事実です。

教習所でも急制動(急ブレーキ)は丁寧に教えられる重要項目の一つで、ライディングテクニックの中でも最も自分の身を守るために必要なことです。

そもそもなぜ「止まれない」のかを考えてみると、その原因は大きく「視認の遅れ」と「操作の遅れ」に分類できます。

「視認の遅れ」というのは運転中に死角から急に飛び出してくる自動車や人など、それが危険であると察知することができなかったということです。

一方の「操作の遅れ」は、それが危険であることは分かっていたつもりだったが、実際にブレーキをかけるのが遅くなった、もしくは自分の思っていた通りにブレーキが利かなかったということです。

バイクでの急ブレーキ・急制動をうまく行うためには、まず早めに危険を認識するとともに、周辺環境からどの程度ブレーキが利くかを考える必要があります。

ブレーキングはリア中心で割合を調節する

市街地で起こるバイク事故のパターンとして、走行中に突然の危険に遭遇したときに慌ててブレーキングをする「パニックブレーキ」をし、それによって危険を避けきれずに転倒したり、周囲に激突したりするというようになっています。

ですので公道を走行するときの急ブレーキは、極力使わないようにするということが重要になってくるのです。
そういう意味で、危険認知も急ブレーキの動作の一つと思ってもよいでしょう。

その上で事故回避のためのブレーキングのコツは、まずきちんとしたフォームをとることにあります。

初心者ライダーの場合は特に、身の回りに危険があるのではないかと思い、姿勢が前のめりになってしまいがちです。

バイクに乗ったときに肘が大きく外側に開くようになっていると、肩によけいな力が入りとっさのブレーキを入れることができません。

肩に余計な力を入れない自然な姿勢が最も危険察知しやすく、またブレーキングが素早くなるのです。

急ブレーキをかけるときには膝でしっかりとボディをグリップし、リアとフロントのバランスをとってかけます。

フロントブレーキだけで止まろうとしてしまうと、前輪のみが急にロックされた状態になり、体が前側に投げ出されてしまいます。